近年では、核家族世帯や単身世帯が増え、賃貸アパートで生涯を過ごす人も多くなっています。とくに高齢の居住者は、体の衰えや精神疾患をきっかけに、ゴミ屋敷化するケースもあり、社会問題のひとつとして、メディアで取り上げられています。本記事では賃貸アパートのゴミ屋敷の兆候や対処方法などを紹介します。

賃貸アパートのゴミ屋敷は増えている！

ゴミ屋敷と言えば一軒家を思いつく人も多いのではないでしょうか。ゴミ屋敷は、一軒家だけでなく賃貸アパートやマンションなどの集合住宅でも起きることです。

賃貸アパートのゴミ屋敷は気づきにくい

一軒家のゴミ屋敷は周囲から見てすぐわかるほどの大量の物品で溢れていることがほとんどですが、賃貸アパートの場合は、一見すると何も変化がなく、ゴミ屋敷になっていることに気づきにくい構造になっています。
そのため、隣人からのクレームが入って初めてゴミ屋敷が認識されるケースも多いです。

高齢者に多いゴミ屋敷

高齢者社会に足を踏み出している日本では、高齢者の一人暮らしは珍しいことではありません。加齢による身体能力向上衰えは、誰でも起き得ることで、ちょっとした怪我や病気で部屋の片付けができなくなり、結果ゴミ屋敷化になってしまうこともあります。

ゴミの回収頻度がライフスタイルに合わない

毎日が忙しい日々を送る働き盛り世代は、外食だけでなく、コンビニやスーパーなどで弁当を買ったりテイクアウトサービスを利用したりする機会が多いですよね。市町村のゴミ収集日と居住者のゴミ出しのタイムスケジュールが合わないと、部屋にゴミが溜まりやすくなり、気づかないうちにゴミ屋敷になっていることがあります。ゴミ袋をベランダにどんどん置いていき、ベランダが全く使えない状態になるケースも多々見受けられます。

ゴミ屋敷のサイン

ゴミ屋敷のサインは、大まかに3つあります。賃貸アパートの大家や管理会社が、ゴミ屋敷のサインに気づいたら、できるだけ早めにゴミ屋敷を解決するように迅速に対応しましょう。

ベランダや郵便受けからゴミが溢れている

賃貸アパートはプライバシーがしっかりと守られている構造になっているため、外観からゴミ屋敷化していることがわかりにくいです。外側から見てベランダにゴミが溢れている状況や、郵便受けから郵便物の他ゴミが溢れている部屋があれば、ゴミ屋敷の可能性があります。

足の踏み場がない

居住者自身がゴミ屋敷になっていると気づくには、身動きが自由にできるスペースがあるかどうかが、ポイントになっています。足の踏み場がないほどに、食べた後の弁当箱やゴミ袋、衣類などが散乱していませんか？物品を踏みつぶして部屋を行き来している人は、要注意です。

悪臭が漂っている

賃貸アパートの共有通路やベランダ越しに悪臭が漂っている場合は、近くにゴミ屋敷化している部屋があるかもしれません。悪臭は排水管トラブルの可能性もあるため、一概に全てがゴミ屋敷とは言えませんが、悪臭を感じたら、管理会社や大家へ相談しましょう。

ゴミ屋敷のリスクとは

賃貸アパートがゴミ屋敷になっていたら、どんなリスクがあるのでしょうか。ここでは、ゴミ屋敷になることによるリスクを4つ紹介します。

害虫や害獣の発生

ゴミ屋敷の特徴は、明らかにゴミと判断できるようなゴミ袋が大量に置いてあり、生ゴミや食べかすがそのまま放置されています。生ゴミや食べかすは害虫や害獣の好物で、自然とゴミ屋敷に集まっていき、部屋の壁や床などにダメージを与えます。

隣人への悪影響

賃貸アパートの場合、部屋同士が密接に隣合っているため、ゴミ屋敷の悪臭や害虫が隣部屋まで影響を及ぼしてしまうことがあります。悪臭は、臭いの元を絶たない限り周辺に漂い、隣人の生活に支障をきたします。

居住者の健康を損なう

ゴミ屋敷は隣人だけでなく、居住者の身体、メンタルヘルスに悪影響を与えます。空気循環の悪いゴミ屋敷では、ホコリやカビが大量に発生し、喘息や皮膚炎などの悪化、精神的なストレスの元になります。

火事の原因

ゴミ屋敷では電源口を覆いかぶさるほど大量の物品に溢れているため、ホコリや害獣などをきっかけに発火し、最悪なケースでは賃貸アパート全体の火事に繋がることもあります。

所有する賃貸アパートがゴミ屋敷になったら

もし所有している賃貸アパートの一室がゴミ屋敷になった時、管理会社や大家ができる対処方法を紹介します。

居住者のゴミは捨てられない

他人から見たらゴミだとしても、居住者にとっては大切な物であることも十分にあり得ることです。管理会社や大家がゴミ屋敷の物品を無断で処分することはできません。たとえゴミ屋敷のゴミだとしても、その物品は居住者の所有する物で、無断で処分すると所有権の侵害にあたります。

行政に相談

ゴミ屋敷に困ったら、賃貸アパートが在籍する市町村へ相談してみましょう。ゴミ屋敷は現代社会の大きな問題として市町村が取り組んでおり、ゴミ屋敷に関する相談窓口を設置しているところもあります。

内容証明書を使って警告

行政の力に頼りながら、それでもゴミ屋敷が改善しない時は、内容証明書を居住者に送り、注意勧告をしましょう。内容証明には「いつまでにゴミを撤去」、「ゴミ屋敷の改善がない場合は賃貸契約の解除」などを記載しておきましょう。

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