お片付けラボコラム
ゴミ屋敷の増加は社会問題?高齢化・単身世帯の増加…現代ならではの背景
2023年10月13日
「自宅や家族の家がゴミ屋敷化している…。」
「近所の家がゴミ屋敷で困っている…。」
こうしたお悩みを抱えている人は、現代において珍しくありません。
近年、ゴミ屋敷問題の件数は徐々に増加しています。
その背景には、現代の日本ならではのさまざまな理由が関係しているんです。
そこで本記事では環境省の調査をベースに、日本のゴミ屋敷に関する実態を詳しく解説します!
目次
ゴミ屋敷は年々増加している
環境省では、平成29年度と令和4年度にそれぞれゴミ屋敷に関する実態調査を行っています。
対象となった自治体は約1,749市区町村です。
令和4年度の調査では、平成 30年度~令和4年度の間に自治体が認知したゴミ屋敷問題の件数は合計5,224件にも上っています。
ゴミ屋敷問題の認知割合でいうと、平成29年度の34.2%から38.0%まで増加。
つまりここ6年間で、自治体全体においてゴミ屋敷問題の認知割合が3.8%増加していることが分かります。
出典※1:令和4年度「ごみ屋敷」に関する調査報告書 | 環境省
出典※2:平成 29 年度「ごみ屋敷」に関する調査 | 環境省
ゴミ屋敷問題は本人からの相談や周囲からの通報がない限り、問題が顕在化しにくい傾向にあります。
それでもこれだけの問題が認知されているということは、実際はより多くのゴミ屋敷があると考えて良いでしょう。
ゴミ屋敷の認知件数が多い都道府県ランキング
では、自治体によるゴミ屋敷の認知件数が多い都道府県は一体どこなのでしょうか?
ランキング形式で見ていきましょう!
順位 | 都道府県 | ゴミ屋敷問題の認知件数 |
1位 | 東京都 | 880 |
2位 | 愛知県 | 538 |
3位 | 千葉県 | 341 |
4位 | 神奈川県 | 323 |
5位 | 兵庫県 | 275 |
ゴミ屋敷問題の認知件数が最も多いのは、ダントツで東京都という結果になりました。
これはやはり人口が多く、家そのものの数も多いことが影響しているでしょう。
2位以下を見ても、比較的人が集まりやすい都市部が上位に食い込んでいることが分かります。
ちなみにゴミ屋敷問題の認知件数が最も少ないのは、島根県で「6件」となりました。
令和2年の国勢調査によれば、島根県は人口が少ない県全国第二位として知られています。
このことからも分かるとおり、ゴミ屋敷問題の認知件数はある程度人口の多さに比例すると考えて良いでしょう。
ゴミ屋敷が増加する理由
ではなぜ、日本ではゴミ屋敷問題が増えているのでしょうか。
考えられる理由は、主に以下のとおりです。
・単身世帯の増加
・高齢化
・近所付き合いの希薄化
・中食産業の発達
・その他
ではそれぞれの背景を詳しく見ていきましょう。
単身世帯の増加
まず挙げられる理由が、単身世帯の増加です。
一人暮らししている人は、身辺の管理を自分1人で行う必要があります。
また、他者に気を遣う必要もありません。
そのため2人以上の世帯に比べ、家がゴミ屋敷化しやすい状況にあるといえます。
なお国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、1980年時点で全世帯における単身世帯の割合は約20%でした。
しかし2015年になると、その割合は約35%にまで増加しています。
さらにこれが2040年になると、約40%まで増加するという推計も出ているんです。
出典:日本の世帯数の将来推計(全国推計) | 国立社会保障・人口問題研究所
このことから、今後もゴミ屋敷問題が増加していくと考えられます。
高齢化
高齢になると、身体が思うように動かなくなったり、認知症になったりする人が増えます。
その結果ゴミ出しができなくなり、家がゴミ屋敷になる人も少なくないのです。
日本の65歳以上人口は、1950年時点では総人口の5%未満でした。
しかし1994年には14%を超え、2019年時点では、全人口の28.4%にまで達しています。
高齢者の割合増加に伴い、ゴミ屋敷問題も増加していると考えられます。
近所付き合いの希薄化
近所付き合いが希薄化していることも、ゴミ屋敷問題増加の一端を担っているといえます。
現代の日本では単身世帯の増加に伴い、一人暮らし用の賃貸物件に高い需要があります。
このような賃貸物件ではとくに、隣人の顔を知らないというケースも少なくありません。
つまり隣近所にそこまで気を遣う必要がない生活スタイルが主流となっており、家をゴミ屋敷化しやすい傾向にあるといえます。
中食産業の発達
中食産業の発達も、ゴミ屋敷問題の増加と密接に関わっています。
現代の日本では外食ではなく、外でお弁当やお惣菜を買って帰り、家で食べるスタイルが主流となっています。
自分で料理をしなくて良いため一見便利な中食ですが、家で出るゴミを増やしてしまうのが難点。
一週間コンビニのお弁当を食べ続けただけでも、ゴミ袋一杯の空容器が出ます。
このような自炊や外食離れも、ゴミ屋敷増加の一端を担っているといえるでしょう。
実際、ゴミ屋敷にはコンビニのお弁当容器やカップ麺の空容器、使用済みの割り箸が散乱しているケースが多くあります。
その他
その他の理由として挙げられるのが、以下のような背景です。
・コロナによる外出機会の減少
・ゴミ出しに伴う対人関係への恐怖心
・不規則な生活
・ゴミ分別の複雑化 など
人によっては精神的な理由でゴミ出しに行けなかったり、仕事や生活スタイル上ゴミ出しが難しかったりする場合もあります。
また自治体によってはゴミ出しのルールが厳しく、出し方を間違えて注意されたトラウマからゴミをため込んでしまう人も少なくありません。
このように、日本のゴミ屋敷問題にはさまざまな背景があるのです。
ゴミ屋敷の改善割合が高い都道府県ランキング
ではここから、ゴミ屋敷の改善割合が高い都道府県ランキングを見ていきましょう!
環境省の調査結果によれば、より改善割合の高い上位5都道府県は以下のとおりです。
順位 | 都道府県 | ゴミ屋敷の改善割合 |
1位 | 広島県 | 74.6% |
2位 | 愛知県 | 72.9% |
3位 | 鹿児島県 | 71.1% |
4位 | 和歌山県 | 70.6% |
5位 | 京都府 | 65.8% |
一位は広島県で、認知した問題のうち74.6%のゴミ屋敷を改善したとあります。
また二位の愛知県は、全国的に見てゴミ屋敷の認知件数が多いにもかかわらず、その7割以上を改善しているという実績があります。
ゴミ屋敷はどうやって発覚する?
そもそも自治体は、ゴミ屋敷をどのようにして認知しているのでしょうか。
その方法は、主に以下のとおりです。
・近隣住民からの通報
・大家や管理会社からの通報
・居住者本人からの相談
・居住者家族や友人からの相談 など
なかでも最も多いのは、近隣住民からの通報です。
近隣住民からの通報
ゴミ屋敷は、悪化すればするほど住人本人が一人で対処できない状況になってしまいます。
また精神的な疾患や極度のストレスから、ゴミ屋敷を住人本人が問題視しておらず、身内に指摘してくれる人がいない場合も。
こうした背景から、近隣住民の通報を受けて初めてゴミ屋敷問題が自治体に認知されるケースが多いのです。
大家や管理会社からの通報
賃貸物件の場合、近隣住民の多くは自治体でなく大家や管理会社へ苦情を入れるでしょう。
しかし大家や管理会社が部屋の借主に指摘しても、効果がないケースもしばしば…。
このような場合は大家や管理会社が自治体に相談し、対応を求めることもあります。
たとえばこちらのお客様は、「管理会社からこのまま片付けなければ立ち退いてもらう」と言われてしまったそう。
そこで危機感を抱き、お片付けラボにご依頼いただきました。
約3日の作業を終え、ゴミ屋敷だったとは思えない程部屋を綺麗にすることができました。
お客様にも大変満足いただけました!
【片付けの放棄によりゴミ屋敷化した東京都杉並区の大量ゴミの回収と特殊清掃】
居住者本人からの相談
居住者本人から、自治体に直接相談する場合もあります。
「家を片付けたいが、身体が不自由でできない。」
「ゴミを何とかしなければいけないのは分かっているが、業者に頼むお金がない…。」
「近隣から苦情が入ってしまったが、一人ではとても片付けられず、どこに相談すれば良いのかも分からない…。」
こんな悩みを抱える人は少なくありません。
たとえばこちらのお客様は、転職したばかりでまだ仕事に慣れず、部屋の掃除や整理整頓を怠るようになってしまったそう。
頭ではわかっていても、掃除に着手できない日々が続いていたようです。
しかし知人が部屋に遊びに来ることになったのをきっかけに、部屋の片付けを思い立ったのだとか。
約2時間の作業により、部屋はすっかりきれいになりました。
お客様も「これで安心して人を呼べます。」と満足げな様子でした。
ゴミ屋敷に住んでいる本人も、その状況に苦しんでいることはよくあります。
相談を受けた自治体は、状況に応じて福祉的な支援を紹介する場合もあります。
家族や友人からの相談
ゴミ屋敷に住む人の家族や友人から、自治体に相談が入る場合もあります。
たとえば管理会社からゴミに関して注意を受けた保証人が、どうすれば良いか分からず自治体に相談するパターン。
また家主が亡くなり、空き家を相続した家族が自治体に相談するパターンなど、状況はさまざまです。
増加するゴミ屋敷問題への対応
自治体によって、ゴミ屋敷に対する対応はさまざまです。
環境省の調査によれば、自治体の具体的な対応は主に以下のとおり。
・現地調査
・面接指導
・関係部署と連携した包括的サポート
・親族への指導
・ゴミ屋敷予防に向けたパトロール
なお上から順に、実施数が多い対応となっています。
ではそれぞれの対応について、詳しく見ていきましょう。
行政の対応について詳しく知りたい人は、以下の記事もご覧ください!
【行政はゴミ屋敷に対処できる?近所がゴミ屋敷になった時の対処法をご紹介】
現地調査
多くの自治体では、通報を受けるとまず現地調査を実施します。
これは通報された内容の真偽を確かめ、ゴミ屋敷の実態を正確に把握するためのものです。
面接指導
実際にゴミ屋敷が近隣に悪影響を与えていたり、私有地以外にまでゴミが溢れているような場合、家主に対して指導を行うこともあります。
指導と言っても面談のようなもので、この段階で強制的にゴミを処分したりするようなことはありません。
実際、無視しようと思えばできてしまうため、訪問してきた職員にあえて対応しない家主も少なくないのです。
それでもこのような訪問活動をするのは、家主と話すことでゴミ屋敷の原因を探り、必要なサポートを提供するためのものでもあります。
関係部署と連携した包括的サポート
ゴミ屋敷の家主の中には、支援を必要としている人もいます。
たとえば体が不自由で家族もおらず、結果的にゴミ出しができなくなり家がゴミ屋敷化している事例は少なくありません。
こうした人に対しては、外部の部署とも連携して福祉的な支援を紹介することもあります。
こうすることでゴミ屋敷問題を原因から解決でき、家主も片付けに対して前向きになれる可能性があります。
親族への指導
本人と連絡が取れない、指導をしても改善が見られないといった場合は、家主の家族に指導を行う場合もあります。
本人が片付けに乗り気ではなくても、家族の説得やサポートがあれば気持ちが変わることもしばしば。
ゴミ屋敷問題は、周囲を巻き込んで解決していくことが重要です。
ゴミ屋敷予防に向けたパトロール
ゴミ屋敷の予防に向けたパトロールを実施している自治体もあります。
具体的には定期的な地域の見回りや、高齢者を中心とした家庭訪問など。
またゴミの出し方や分別について、分かりやすくまとめた資料を配るなどの取り組みもあります。
ゴミ屋敷条例のある市区町村は101自治体
環境省の調査によれば、ゴミ屋敷条例のある市区町村は101自治体だそう。
これは全国の市区町村の、5.8%に相当する割合です。
なお、101自治体のうち74.8%は、条文に罰則規定を設けていないと回答しています。
このように、まだまだゴミ屋敷問題に対する条例の整備は発展途上といえるでしょう。
今後ゴミ屋敷条例は増えていく見通し
現在ゴミ屋敷に関する条例を設けているのは101自治体程度です。
しかし、年々ゴミ屋敷の認知件数が上がっており、今後も高齢化や単身世帯の増加が続くことを考えると、徐々にゴミ屋敷に対する条例を作る自治体は増えていくでしょう。
つまり今は見逃されているゴミ屋敷も、一年後には自治体の指導が入る可能性もあるのです。
自分や家族の大切なものを残しておくためにも、ゴミ屋敷化した家の片付けは早めに行いましょう。
条例で重視する点
ちなみに各自治体が条例を作る際に重視している点は、主に以下のとおりです。
・近隣への影響
・悪臭や害虫の有無
・廃棄物や物品の量 など
一番に考慮されるのは、やはり近隣への影響です。
いくら自分の家に居住権があるといっても、他人の生活を脅かして良いことにはなりません。
そのため近隣から苦情が出ており、実際にゴミが隣家にまで溢れていたり、悪臭や害虫の被害が認められる場合、自治体の指導が入る可能性は非常に高いといえます。
現時点で心当たりのある人は、ぜひ早めにゴミ屋敷問題を解決しておきましょう。
条例で指導される前にゴミ屋敷を片付けよう!
現在、全国的にゴミ屋敷の増加は問題視されています。
この状況に伴い、今後はより多くの都道府県でゴミ屋敷に関する条例が整備されていくでしょう。
家がゴミ屋敷になってしまいお困りの人は、ぜひお気軽にお片付けラボにご相談ください!
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